「頑張らない自炊」のすすめ。続かないのは、意志のせいじゃない
自炊が続かない。
買ってきた野菜をダメにする。作ったのに食べきれない。レシピ通りに作ったはずなのに、なんか違う。
私にも覚えがあります。栄養バランスを考えようと、料理の本とにらめっこ。節約料理を作りたくなって、また料理の本とにらめっこ。「これを食べて痩せました」なんて本を見つけては、性懲りもなくにらめっこ。気がつくと、キッチンの棚にはあまり開かれない料理本ばかりが増えていて——いつの間にかその本たちは、豆腐の水切りのおもりになっていました。
そういう経験が積み重なると、「自分は自炊に向いていないんだ」と思い始める。でも、ちょっと待ってほしい。続かなかったのは、あなたのやる気の問題ではなくて、やり方が自分に合っていなかっただけかもしれない。
「ちゃんと作る」を降りていい
自炊と聞くと、献立を考えて、栄養バランスを整えて、品数を揃えて……というイメージが浮かぶ。料理本やレシピサイトには、きれいに盛り付けられた3品の食卓が並んでいる。
でも、ひとり分のごはんに、それは要らない。
キャベツを手でちぎって、ごま油と塩で和える。それでもう一品。卵を溶いて、レンジで2分。それで十分なおかずになる。味噌汁は、お椀にお湯と味噌と乾燥わかめを入れれば、鍋すら使わなくていい。
「ちゃんと作る」のハードルを下げてしまうと、不思議なことに自炊の回数は増える。完璧を目指して週1回キッチンに立つより、手抜きで週5回ごはんを作る方が、体にも財布にもやさしい。
ひとり分は「余らせない」が最優先
ひとりで食べるごはんの最大の敵は、「余り」。
2人分のレシピを半分にしたつもりが、調味料の量がうまく割れなくて味がぼやける。かといって2人分作ると、翌日も同じおかずで飽きる。野菜は半端に残って、冷蔵庫の奥で静かに傷んでいく。
だから「1人分をぴったり作る」のは、手抜きではなくて技術。使い切れる量だけ買う。半分に切って残りはラップ。それも面倒なら、最初からカット野菜やきのこ1パックのように「使い切りサイズ」を選ぶ。
ここに罪悪感は要らない。余らせて捨てるよりずっといい。
調味料は5つあれば暮らせる
「あの調味料がないから作れない」は、自炊を遠ざける地味な壁。
正直なところ、醤油・味噌・塩・ごま油・酢。この5つが台所にあれば、たいていの和食系ごはんは成り立つ。めんつゆがあれば、さらに楽になる。逆に言えば、使い慣れない調味料を1回のために買う必要はない。
ナンプラーもバルサミコ酢も、興味が出てからで大丈夫。まずは、いつもの味で、いつもの材料で、今日も1回ごはんを作る。その積み重ねの方がずっと価値がある。
60点で「合格」にしていい
おいしくできた日があれば、まあまあの日もある。焦がす日も、味が濃すぎる日もある。
それでいい。
ひとりのごはんは、誰にも評価されない。だから点数をつけるのも自分。60点で合格にしてしまえば、自炊はぐっと気楽になる。完璧を目指した日より、「まあ食べられたな」の日の方が、実は体はちゃんと喜んでいる。
コンビニ弁当の代わりに、ごはんを炊いて卵を焼いただけ。それも立派な自炊。そこから始めて、気が向いた日にもう一品足す。それくらいで、ちょうどいい。